2017年04月27日

東名高速 鮎沢パーキングエリアの人工巣

御殿場の近くにある東名高速道路の鮎沢パーキングエリアに、ツバメの人工巣を設置していただきました。

人工巣はこれまでも何度か紹介していますが(画面右列にあるカテゴリの「ツバメの人工巣」をご覧下さい)、これまでは人工巣を両面テープなどで直接壁に付けていました。しかし鮎沢PAの壁は特殊な塗装のためにテープがくっつかなかったのです。そこで、PAの管理をされている中日本ハイウェイ・メンテナンス東名株式会社の御殿場事業所が、写真のような取り付け台を作って下さいました。

鮎沢PA人工巣0.jpg

柱やパイプ、鉄骨などに針金で巻いて、巣台を固定します。巣台の下方にあるフン受け構造がやや巣に近いので、理想的にはもう少し巣から離してあった方がツバメは安心しそうですが、フン受け構造も小さめですし、鮎沢PAはたくさんのツバメが集まる場所なので、たぶんツバメは巣作りしてくれると思います。

鮎沢PA人工巣1.jpg

なぜかと言いますと、ツバメは群れて巣を作る習性があるからです。専門的にはルーズコロニー(loose colony:ゆるい集団繁殖地)と呼ばれる習性で、これはサービスエリアや道の駅のように、ひとつの建物のあちこちにツバメが巣を作っている状態を指す言葉です。住宅地では個別の家にツバメの巣がありますが、その場合でも、あるエリアではツバメの巣がある住宅が多いという状態になっていて、ぜんぜんツバメの巣がないところに、ぽつんとひとつがいだけ営巣しているということは、あまりありません。

イワツバメやショウドウツバメのように巣と巣がぎっしり並んでいるのがいわゆるコロニー(集団営巣地)です。コシアカツバメはコロニーになることも、ルーズコロニーになることもあります。このように程度の差はありますが、ツバメの仲間はコロニー性なのです。

そのためツバメにとって魅力的な営巣地は、餌の虫が多いとか、人通りが多いということに加えて、「ツバメが多い」ということも条件になっています。たとえば、まったく同一条件に見える場所でも、ツバメが来る場所と、来ない場所があります。そして、いったんツバメが集まり始めると、そこにツバメのルーズコロニーができていること自体がツバメにとって魅力になるので、さらにツバメが集まってくるのです。

このようなツバメが集まっている建物では、コロニーの一員になれるという魅力のために、ちょっとくらいのことは気にしないで巣作りをする傾向があります。私は普段はフン受けを巣の近くに付けることはお勧めしていないのですが、今回はだいじょうぶと思うのは、こうした理由のためです。

ところで、鮎沢PAの人工巣と巣台は、ツバメに巣場所を提供するというだけでなく、「ツバメさん歓迎&しっかりフン対策してます」というふたつのメッセージを発信していると思います。ツバメ好きのお客様と、ツバメはちょっと苦手というお客様の、両方に納得してもらって、ツバメと共存する施設のモデルになるのではないでしょうか。


posted by ツバメネット管理人 at 20:32| Comment(0) | ツバメの人工巣
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