先週の金曜日(2016/6/9)、NHKの夕方のニュース番組で、埼玉県の道の駅アグリパークゆめすぎとに設置させてもらっている人工巣で子育てしているツバメたちが生中継されました。
そのとき紹介された人工巣がこれです。人工巣よりも盛られた泥のほうが厚くて、人工巣は巣台の代わりになっていると言った方が本当かもしれません。
下はこの人工巣を付けたとき(2014年4月)の写真です。ツバメは、設置した直後にやって来て、巣の居心地を確かめているようでした。
この年、ツバメは巣に泥を盛って営巣を始めましたが、産卵まで至らず放棄。翌年もまた、さらに泥を盛って営巣を試みたものの、やはり途中で放棄しました。この巣以外の人工巣2カ所では、繁殖していたのですが。
二年続けて営巣を途中放棄した理由は、この巣の位置のせいではないかと私は考えました。この巣は建物の外から見つけやすい位置にあるため、ツバメはカラスなどに襲われる危険を感じたのかもしれません。本来なら、もっと天井間際に人工巣を取り付けるべきでした。その方が外から見えなくなるし、それに外から見えるかどうかに関わらず、ツバメは天井間際の位置に好んで巣を作りますから。4つ付けた人工巣のうち、もう1カ所、この巣と似た位置にある巣も、過去2年は利用されませんでした。
今年、3年目にしてこの巣で繁殖が行われたのは、盛られた泥のせいで巣が天井近くまで届いたことが、ひとつの理由ではないかと思います。
もうひとつ考えられる理由は、コロニー(集団繁殖地)を形成するというツバメの本能に関係します。今年、道の駅ゆめすぎとでは繁殖期前半に、7個の人工巣のうち6個(上記の巣を含む)で営巣が行われ(なお、1個は途中で落下して営巣放棄。接着が不完全でした)、さらにツバメ自身が作った3カ所の巣(複数並んでいるうち1つを使うので個別にカウントしません)でも営巣があったことで、道の駅ゆめすぎとがコロニーとしてツバメを引きつけるようになり、他へ行くよりここで営巣したいとツバメが考えるようになったのではないかと思うのです。
どの人工巣も盛ってばかりじゃありませんよ。この女子トイレの中の人工巣も3年目ですが、ほとんど盛られていません。
ところで、ツバメが人工巣を盛る行動から、おもしろいことが分かりました。
こちらは埼玉県の道の駅庄和に設置させてもらっている人工巣です。斜めになった張り出しの上に人工巣を置いたので、巣が傾いてしまったのですが、ツバメは巣の縁が水平になるように泥を盛ったのです。このような「水平盛り」は、他にもいくつかの人工巣で見られました。
人間界には手抜き工事で傾いてしまったマンションがありましたが、ツバメも家が傾いていると、住み心地がよくないようですね。
暑い時期に卵を産み育てますが、巣の中の通気性はどうなのかと。
人工素材の巣で子育てもしている様なので、其は其で良しと判断して選んでいるのだと思いますが、外は土と唾液で固めた物で、中には藁や羽毛等と、考えられて作られているように思えます。