この記事は2015年4〜8月に発行した週刊つばめニュースを修正したものです。
アメリカ人の方が動画でツバメのフン受けを紹介してくださっていますが、バードリサーチのフン受けに感心してくれただけでなく、こんな場所にツバメの巣があること自体も、珍しかったのではないかと思います。
ツバメは世界中で見られる野鳥で、アメリカ大陸にも生息していますが、あちらでは日本のツバメと違って、お腹が赤い色をしています。
そしてアメリカのツバメは、日本のように家の外壁に巣を作ることはめったにないそうです。多くの場合、納屋や家畜小屋のような建物の内側や、橋の下などに、集団で巣を作るのです。
ですから、日本のように駅やサービスエリア、個人宅の玄関ような場所にツバメはいないのでしょう。アメリカ人が日本に来ると、家の軒先にこんなにかわいい鳥が巣を作っているし、さらに日本人がそれを大切にしているのを見て、とても感動するようです。
そしてアメリカのツバメは、日本のように家の外壁に巣を作ることはめったにないそうです。多くの場合、納屋や家畜小屋のような建物の内側や、橋の下などに、集団で巣を作るのです。
ですから、日本のように駅やサービスエリア、個人宅の玄関ような場所にツバメはいないのでしょう。アメリカ人が日本に来ると、家の軒先にこんなにかわいい鳥が巣を作っているし、さらに日本人がそれを大切にしているのを見て、とても感動するようです。
(お腹が赤いアメリカのツバメ亜種 写真はWikipediaより)
世界のツバメは地域によって、ちょっと違っています
アメリカと日本のツバメは、専門的には「亜種が異なる」と言って、いわば親戚関係にあります。また世界のツバメは、地域によって6つの亜種に別れています。
亜種どうしは少しずつ違うのですが、ひと目で分かるのは、体の色が違うことです。お腹の色や胸の黒いバンドの明瞭さが、亜種によって様々に異なっています。さらに体を測ってみると、尾羽の長さにも違いがあります。
亜種の見た目と生息範囲はこちらのホームページをご覧下さい。
http://www.colorado.edu/eeb/facultysites/safran/International.html
上記の地図では南米に小さな丸印がありますが、北米と南米を渡っていたツバメが越冬地のはずのアルゼンチンに定着して、北へ帰らずに繁殖するようになっていることが1980年に見つかったそうです。
(ヨーロッパのツバメ亜種 色は日本と似ているが尾羽が長い 写真はWikipediaより)
アジアのツバメは人が大好き
世界各地の亜種で異なっているのは、体の色や尾羽の長さだけではありません。前述のアメリカのツバメように、巣を作る場所や習性も異なっています。
ヨーロッパのツバメはアメリカほど集団性が強くなく、日本のツバメと同じように人家の壁に離ればなれの巣を作ったり、家畜小屋で集団営巣したりしますが、 日本のツバメと違うのは、人がまったくいない場所でも巣を作ることです。例えば、原発事故があったチェルノブイリでは30年前に人がいなくなった村の家畜 小屋にいまでもツバメが営巣し続けているので、そういう場所でツバメを対象に長期的な放射線の影響が研究されています。
一方、日本やアジアのツバメは、主に人が住んでいる建物に巣を作ります。福島第一原発の事故の後、避難地域でツバメの調査をしたことがありますが、少ない 数のツバメしか見つかりませんでした。それも、無人の街では警察官や除洗作業員が駐在している建物だけに営巣している場合があって、人がいる建物に営巣する習性が強いことが窺えました。
日本では、ツバメは天敵から身を守るために人間のそばに巣を作ると言われていますが、外国のツバメは、必ずしもそうではないようです。
その他のツバメ亜種
日本でアカハラツバメと呼ばれているツバメは、モンゴルからロシアにかけての地域で繁殖していて、集団営巣する習性が強いようです。世界各地でツバメを調べているコロラド大学のエリザベス・スコダート(Elizabeth Scordato)さんに聞いたところ、アカハラツバメでは、日本のツバメのような単独の巣は見たことがないと教えてくれました。
ところで、日本にいる「アカハラツバメ」だと言われているツバメは、じつは本当にアカハラツバメなのかどうかが、はっきりしていません。日本はアカハラツ バメの繁殖地から離れているし、渡りの途中にも通過しそうにない位置にあります。前述のエリザベスさんが日本にいたお腹の赤いツバメのDNAを分析中です ので、本物のアカハラツバメなのか、アジアのツバメで赤みが強いだけなのか、まもなく答えが出ると思います。
さて、残りの2つの亜種は、世界でも狭い範囲でしか繁殖していません。これもエリザベスさんからの情報ですが、エジプトにいるツバメの亜種は、主に家屋の 内側に、単独か小グループで巣を作るそうです。イスラエルの亜種は建物の外壁につがい単位で巣を作ることが多いようですが、建物内にある巣や、小グループ での営巣も見かけるということです。