この記事は2015年4〜8月に発行した週刊つばめニュースを修正したものです。
今回は集団ねぐらの話しをしましょう。野鳥の巣というのは人間の家とは違ってヒナを育てるときにだけ使う場所で、野鳥は普段、野外で眠っています。子育てを終えた親ツバメと今年巣立った若鳥は、夜になると、身を隠せる場所に集団でねぐらを作ります。こうした場所は河原のヨシ原に多いのですが、竹林や街路樹、トウモロコシ畑、沖縄ではサトウキビ畑に集団ねぐらができていることもあります。こうした集団ねぐらでは、日没時になると数百から数万羽のツバメが飛び交 う、壮大な光景を見ることができます。
(ヨシ原のツバメ集団ねぐら 撮影 渡辺仁)
バードリサーチ事務所に近くの多摩川にも、例年数万羽のツバメが集まるねぐらがあります。このねぐらではツバメは7月中旬から増え始め、8月初旬にピークになったあと数が減り、8月末にはほとんどツバメがいなくなります。他の地域では9月になってもねぐらにツバメがい るので、東京は渡りの経路から外れていて、北からやってくるツバメがいないのかもしれません。
9月になると、ねぐらのツバメが次第に、北海道だけで繁殖するショウドウツバメに入れ替わる場所もあります。
この時期、ツバメは日中は一生懸命虫を食べて、東南アジアまで数千キロを渡るための体力をつけるのです。