2016年03月24日

6. ツバメの子殺し

この記事は2015年4〜8月に発行した週刊つばめニュースを修正したものです。

ツバメの巣の中の卵やヒナが消えてしまうことの理由のひとつに、「子殺し」と呼ばれる行動があります。

ツバメの略奪婚発生?

滋賀県のKさんからメールをいただきました。今年の三月末にツバメがやって来て卵を産んだのですが、しばらくすると巣の下に卵が落ちていて、巣の中もか らっぽになっていたそうです。その後しばらくして、二軒お隣でツバメの巣ができました。一方、Kさんの家の巣ではメスがいなくなり、オスツバメがひとり ぼっちになってしまったそうです。新しくできた巣のツバメが逃げてしまったメスなのかは分かりませんが、タイミングが一致しているので、別のオスにメスを 取られてしまったのかもしれません。

つがいとは別のオスがやってきて、ヒナや卵を捨ててしまうことがあります。これは「子殺し」という行為で、新たなオスがヒナのいるメスと夫婦になる場合、 他人の子供は育てたくないので、殺してしまうのです。巣が空になるとメスが再び卵を産みますから、そのときメスと交尾して、自分の子孫を残します。子殺し はツバメだけでなく、いろいろな鳥類と哺乳類に見られる行動です。

Youtubeにツバメの子殺しの動画があります。ちょっとショックな映像ですので、興味がおありの方は、ご注意の上、ご覧下さい。

https://www.youtube.com/watch?v=YR6FHG4RZ6k


夫婦はそれぞれ自分の子孫を残したい

さて、ツバメの夫婦関係の話を続けましょう。つばめニュース1号でツバメの夫婦愛が続かないことを書きましたが、前号ではスペインで子育てしたツバメ夫婦 が越冬地の西アフリカでも一緒だった話をしました。どっちなんだと思われるでしょうが、渡りをする小鳥の一生を追うのは簡単なことではないので、真相が分 かるのは、まだずっと先になると思います。

今回は、今年出版されたばかりの「ツバメの謎」という本に書かれているツバメ夫婦の子供をめぐる確執をご紹介しましょう。

この本の著者の北村亘さんたちのグループは、千葉県富津市の牛舎で7年間、ツバメに足環を付けて1羽ずつを識別し、ツバメどうしの関係を調べました。

 ツバメは尾の長いオスほどメスにもてて自分の特徴を受け継ぐ子孫を残せるので、ツバメの尾羽はだんだんながくなったという研究がヨーロッパで行われてい ます。しかし北村さんたちの調査地では、尾羽の長いオスほど早くに結婚できたわけではありませんでした。日本のツバメはヨーロッパと同じ理由で尾が長く なったものの、いまのツバメのメスは、それとは別の特徴でオスを選んでいるのではないか? そう考えた北村さんたちの調査から、日本のツバメでは太ってい て、ノドの赤い部分の面積が大きく、はっきりした赤色をしているオスがモテることが分かってきました。

さらに両親とヒナの血液からDNAを分析して親子関係を調べてみると、3割の巣に両親以外の遺伝子を持つヒナが見つかり、牛舎のヒナ全体では15%のヒナ が「浮気」の結果生まれていることが判明しました。こうしたことが起こるのは,オスとメスがそれぞれの子孫の数を最大にしようと行動するためで、しかも「浮気」するメスは、前述のようなモテる体型のオスと結婚できなかったメスに多いというのです。

てメスが浮気をした結果、オスにとっては自分の血を引かないヒナが巣の中にいることになりますが、なんとオスはそのことを探知して、雛の餌を減らすという反撃をします。オスの目の前からよくメスがいなくなる場合、ヒナの中に浮気の子供がいると疑って、エサを運ばなくなるらしいのです。

posted by ツバメネット管理人 at 23:23| Comment(0) | つばめニュース
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: